2010/01/18

鳩山首相の

私は、1970年代、カリフォルニアの排気ガス規制がどうなるか、EPAの排気ガス規制がどうなるか、日本の本社に報告し、自動車の戦略を作るため、ロスアンゼル市に駐在を命じられ情報収集にあたっていた。情報収集源はFederal Register(官報)、業界紙、全米自動車工業会の集まりであった。スズキは既に2輪車を米国に販売しており、官報に出された政策にコメントする権限が与えられており、排気ガス規制、安全規制の動向が日本の本社が正しい判断を下せるよう、周辺の情報まで含て報告し本社からコメントの案を集めた。
単なる環境保護というムードからで無く、スズキや日本の自動車会社を守るため、積極的にコメントした。
今思うと、ちっぽけな日本のメーカーのコメントを聞いてくれたアメリカの懐の深さを感じる。

カリフォルニア州の人口は全米50州で最も多い約3700万人。連邦とは独自の法律を作り、リーダーシップをとり自国の州ばかりなく、カナダやオーストラリアのニューサウスウエール州には、直接影響力を及ぼしている。

CARB(カリフォルニア州大気保全局)は1960年代、光化学スモッグに端を発し、米国で最初に自動車排ガス規制を実施した。環境保護では、はカリフォルニアがリーダーシップを握り、連邦が追随している。

米国ではいまもカリフォルニアだけに独自の排ガス規制を定めることが認められている。しかし、自動車メーカー、石油業界などの提訴で、時には却下され、時にはEPAが優先し、さらにまたCARBが新たな立法をするという繰り返しが私が駐在した1970年から40年たった今も行われている。

カリフォルニアと連邦の動きはどのようになるのか正しく判断しないと自動車会社の存続に関わる。

GMの破綻は、企業年金のキャッシュフローを稼ぐため、カリフォルニアの電気自動車規制をブッシュと組んで廃案にしたことにあると私は見ている。短期の利益に目がくらみ明らかに対応を間違った

今、民主政権で問題になっている25%温室効果ガス削減のルーツもカリフォルニアにある。鳩山首相は日本が世界をリードとかいっているが、排気ガス規制については、日本はカリフォルニアの追随をしているだけである。日米の自動車メーカーは、カリフォルニア規制には、懸命の技術開発をし、時には激しく提訴して現実の解決を促した。

カリフォルニア2006年9月に地球温暖化対策法では、2020年に温室効果ガス排出量を現状から25%、50年までにさらに80%減らすというものである。

州人口は急増しているので人口増による電力や燃料消費が増えることを考えると、排出量の25%削減は、実質的には50%減を達成しなければならない。

問題はその対策である。41%という最大の排出源である自動車につぎ22%を発電所が占める。
カリフォルニアは電気が不足している。時には電力不足から大停電を起こした。他州から電気の50%を分けてもらっていてもである。

そのために、再生可能エネルギーの利用を増やし、石炭火力からの輸入ゼロを目指している。再生可能エネルギーである風力発電のルーツは、80年代のカリフォルニアであったのである。さらに、全米で唯一、太陽光発電の大規模導入を進めている。

広大なモハビ砂漠に設置された太陽光発電所。拡大すると反射鏡、集光タワーが見られます。

太陽光をミラーで反射させ、循環しているオイルを熱し、蒸気タービンに熱交換させて、48.3メガワットの出力を誇る。近隣には出力150メガワットの設備もある。これで一般家庭6万軒の電力をまかなえる。

03年からは、電力販売に占める再生可能エネルギーの割合を毎年1%以上増やすよう電力業界に義務づけ、17年には20%を要望している。

今、日本で景観を壊し、回っていない風力発電や、市民の住んでいるところでは騒音を発する風力発電機が
各自治体や、工場のいたるところで建設されている。

カリフォルニアのように切羽詰った問題からの切実な現実的な導入でなく、日本では補助金がでるとか儲かるからとかエコブームだからとかいう観点で風力発電や屋根に太陽電池を設置するのをマスコミがあおる風潮がある。

地球温暖化の対策は、市民ひとりひとりのレベルで解決できる問題では無い。
国家戦略が必要である